合成開口レーダのデータから散乱特徴量を抽出した後,特徴量をユーザが直感的に理解できる解析画像に統合することが当該領域では必要となる。合成開口レーダ領域の主流の「分解型」解析画像生成法では,三つの特徴量の数値をRGBカーラコードとさせて,一つの解析画像を生成する。この原理によって,この手法は三つ以上の特徴量を統合することができずに,情報の利用率が大きく制限されていた。
本研究室は,「分解型」解析画像生成法の代わりに,革新的な「積層型」解析画像生成手法を提案した。提案した「積層型」手法では,一つではなく,複数の解析層を含む画像をユーザに提供する。各解析層では,異なる特徴量を映し,すべての層を重ねることにより,解析画像を生成する。解析層の数,映した特徴量,または重ねる順番等が応用目的によって自由にデザインできる。従って,提案した手法では,統合できる特徴量の数が「三つ」という制限から解放され,より豊富な散乱情報の利用と表現が可能となった。
図1:「積層型」解析画像生成法の原理
図2:駿河湾エリアのALOS-PALSARデータによる解析画像の生成